醤油カツ丼 開発秘話
はじまりは昭和38年。
私は他店での修業期間を経て、父が営んでいた実家のうどん屋を継いだ。
創業23年目の時である。
それなりにお客さんは来てくれていた。
しかし特に有名なものがない私の店は、
よくある街のうどん屋に埋もれていた。
そこで私は店の看板メニューを作ることを決めた。
そんな時ふと思い出したことがある。
「そういえば先代の頃から、
『うどんと卵とじカツ丼』がよく売れていたな…カツを考えてみるか…」
味噌…ソース…醤油………醤油?
そういえば醤油カツとういうのは見ないな。
「それなら名古屋名物となる醤油カツ丼を作ってやろう!」
その後私は、串カツのような棒状で柔らかいカツの開発をした。
試作品が完成し、口にした時…
「これだ!」 私は確信した。
まだ方向性が決まっただけではあるが、希望が見えた。
この『醬油カツ丼』が看板商品として店に並ぶ光景がまぶたに浮かぶ。
そこからは試行錯誤の毎日だった。
そして私は改良を重ね、ついにたどり着いた。
色々と試した結果できた”もと”を半年間寝かせることで、
熟成されたまろやかな醤油が出来たのだ。
衣は、硬さと食感にこだわり、醤油をかけても張りが保たれるよう、
粗いパン粉と細かいパン粉をブレンドして使うことにした。
さらにおススメの食べ方も研究し、
わさびで食べると一番合うことが分かった。
新商品の開発にはここまで延べ10年かかった。
そしてついに完成し、なんとヒットしたのだ。
おかげさまで『醬油カツ丼』は名実ともに看板商品となりました。
食べごたえがあるのに、あっさりしていて、
毎日来ても食べられる味なので、
老若男女問わず注文していただけます。
ぜひ一度、当店自慢の『醬油カツ丼』をご賞味ください!